交通事故の慰謝料の相場は?
交通事故が起きてしまったら、示談交渉という加害者と被害者で話し合いをし示談金を決めます。
示談金とは、被害者が受けた被害を金銭に換算することで、治療費や休業時の損害金などの総額になります。
示談金=治療費+休業損害+入院雑費+通院交通費+慰謝料。という関係になります。
ほかの費用は、実際にかかった金額ですので計算も簡単なのですが、難しいのが慰謝料の算定です。
慰謝料とは、交通事故で受けた精神的、肉体的苦痛を金銭に換算したものです。
交通事故で怪我をすると、痛みによる苦痛はもちろん、入院や通院により身体的苦痛が奪われたり、検査や治療がわずらわしいといった直接的な精神的苦痛や、仕事への影響といった間接的な苦痛も経験しますので、慰謝料はその苦痛に対する賠償金という性格になります。
そして、交通事故後の示談交渉で合意がまとまらない原因となるのが、慰謝料であることが多いのです。
示談交渉がうまくいかないと、裁判所の裁判官が調停したり、それでもうまくいかなければ最後は裁判で示談金について決着をするということになります。
とはいえ、よほど事情がない限り、通常は裁判で決着するところまでいきません。当事者同士の話し合い、というより当事者の契約している保険会社が代行して行う示談交渉でたいてい解決されます。
慰謝料には相場があり、多くの場合、相場を逸脱した慰謝料が支払われることは多くはないのです。
交通事故により生じたケガの治療のために入通院したときの慰謝料は、日弁連が出版している「損害賠償額算定基準」に基づいて計算されることが一般的です。この基準は別名、裁判基準または弁護士基準と呼ばれています。また、この冊子自体は「赤い本」と呼ばれています。
基準には2種類あり、むち打ち症で他覚症状がない場合とそれ以外の場合でそれぞれ違う基準を使って計算します。
また、脊髄損傷や内臓破裂など重傷だった場合、基準となる慰謝料よりも増額されることもあります。
では、実際にどのように計算されるのか、交通事故でむち打ちとなった場合を見ていきたいと思います。
この例では、治療期間を180日、通院日数が50日だった被害者が、弁護士基準に基づいて慰謝料を要求した場合、その相場はいくらになるのでしょうか。
この場合、通院日数50日の3倍に当たる150日が慰謝料算出基準となる日数で、弁護士基準では79万円となります。
実際の通院日数を3倍したときに治療期間を超える場合は、慰謝料算出時には治療期間が限度となります。
この例ですと、もしも通院日数が61日だったとすると、その3倍は183日になりますが、その場合でも治療期間である180日が上限となり、それに応じた慰謝料が支払われるということになります。
慰謝料の基準には3種類あったり、交通事故の加害者にも被害者にもめったになることはないので、いざなってしまったときは、こうした慰謝料の計算実務は一般の方には難しいですし、保険会社のいいなりになってもいけません。できるだけ、弁護士や行政書士など専門家の助けを借りるようにしましょう。